Vol.170 最低賃金引き上げと年収の壁

2023年09月08日

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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.170)
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今月のひと言
「最低賃金引き上げと年収の壁」 代表取締役 福山 研一

労働法制など、4月や10月に改正・施行されることが多いですが、この2023年10月は、インボイス制度の開始が一番の目玉で、労働法制では目立った変化はないように思います。

ただ、注目すべき点として、例年のことですが、10月から最低賃金が引き上げられることと、それにも関連しますが、扶養範囲内での働き方など、いわゆる年収の壁と呼ばれるものへの対策が打ち出されるとも言われています。

まず、最低賃金については、41円引き上げの896円で確定し、10月1日から適用されることになっています。私がこの業界に入った2006年は617円で、20年弱で大幅に上がった印象を受けます。
時給設定では10円刻みが多いので、実質900円になるかと思います。仮に最低賃金を上回っていても、最低賃金が600円台のときの時給1000円と、最低賃金が900円のときの時給1000円では印象は異なるもので、全体相場も上がっていますので、注意が必要です。

また、賃金が上がると労働時間が同じでも年収が増えることになり、週30時間とか週20時間とかを意識して扶養範囲内で働かれている方も、規定の年収を超えないように時間を減らすケースも出てきております。

いわゆる年収の壁としては、以下の段階があります。
103万円以上 所得税がかかる
106万円以上 社会保険料がかかる①(※厳密には月収8.8万円以上)
       勤務先の従業員数が101人以上で、 
       週所定労働時間20時間以上、かつ2ヶ月超の勤務見込みの場合
130万円以上 社会保険料がかかる②
       勤務先の従業員数に関わらず。
       週所定労働時間30時間以上、かつ2ヶ月超の勤務見込みの場合は、
       年収に関係なく社会保険加入要。

106万円の壁については、対象となる勤務先従業員数が、
2016年10月~501人以上
2022年10月~101人以上
2024年10月~51人以上
と順次拡大されていて、中小企業の多い徳島においても、該当企業も増えて、扶養範囲内という働き方が難しくなりつつあります。

こうした制度変更から、この人手不足の折に労働時間を減らすことのないようにと、手取り減少分を穴埋めした企業を支援するような施策が、今後打ち出されるとも言われています。

個人的には働き損という言葉は好きではありませんが、実際に従業員として働く側からすると、手取りの多寡は、経営者が思っている以上にデリケートなものです。
人手不足のなか、採用にばかり目が行きがちですが、制度変更・環境変化にも注意を払って、既存社員の待遇向上等にも目を向けいきたいものです。