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Vol.195 10月施行「育児・介護休業法改正」
「10月施行「育児・介護休業法改正」」 代表取締役 福山 研一
“柔軟な働き方”への対応が企業イメージを左右する時代へ
~制度改正は「義務」ではなく「魅力発信」のチャンスに~
2025年10月1日から、改正育児・介護休業法が施行されています。
今回の改正では、3歳以上〜小学校就学前の子を育てる従業員に対し、テレワークや時短勤務、フレックスタイムなどの「柔軟な働き方措置」を2つ以上設けることが義務化されます。
また、育児や介護を行う従業員に対し、企業が意向聴取を行うことも義務となり、個々の希望に寄り添う姿勢がより強く求められる内容です。
■「制度はあるが使いづらい」現場とのギャップ
近年、制度を整えても「人手が足りず使わせにくい」「現場の理解が追いつかない」といった声が多く聞かれます。
法令対応として制度を形だけ導入するのではなく、現場で実際に使える運用に落とし込むことが重要です。
例えば、制度利用者が出た際の他メンバーへの負担軽減策をあらかじめ考えておくこと。
代替要員の配置や、業務のマニュアル化・タスク共有化が進んでいれば、制度利用がスムーズになります。
一方で、「制度を使う=迷惑をかける」という心理的ハードルが残る職場も少なくありません。
上司の理解とチームの協力を前提に、**“使える空気づくり”**を進めることが定着のカギです。
■ 実務対応のポイント
1.就業規則の見直し
対象者・期間・手続き・勤務形態などを具体的に明文化し、社内で周知しましょう。
2.管理職研修の実施
現場リーダーが制度を理解していないと、せっかくの制度が“絵に描いた餅”になります。
3.社内広報の工夫
社内掲示板やイントラで「実際に制度を使った社員の声」を紹介すると、利用意欲が高まります。
4.外部相談窓口の活用
社内では相談しにくいケースも多いため、外部キャリアコンサルタントや社労士など、第三者を窓口に設けることも有効です。
■ 地方企業にこそ求められる「柔軟さ」
徳島をはじめとする地方企業では、長年勤める社員が多く、家庭の事情と仕事の両立が課題になる年代層が増えています。
育児だけでなく、介護・病気・子の進学など――ライフイベントが多様化する中で、一律の働き方では対応しきれない時代に入りました。
「うちはまだ小さい会社だから」「人手が足りないから」という理由で制度整備を後回しにすると、若手や子育て世代から“魅力のない職場”と見られてしまいます。
逆に、柔軟な働き方を許容する姿勢を示せば、「この会社なら長く働けそう」と感じてもらえます。
それは法対応のためだけでなく、採用力・定着率・企業イメージのすべてに直結する要素です。
■ おわりに
今回の改正は、単なる「働き方改革の延長」ではなく、企業文化を見直す転換点です。
制度を“義務”で終わらせず、“信頼づくり”のチャンスに変えること。
その一歩として、従業員との対話を重ね、外部専門家も活用しながら、自社に合った柔軟な制度を設計していきましょう。