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Vol.194 最低賃金1046円時代、どう備えるか
「最低賃金1046円時代、どう備えるか」 代表取締役 福山 研一
今年度、徳島県の最低賃金は 980円から1,046円へ、過去最大幅の昨年に次ぐ66円の引き上げが答申されました。発効は2026年1月1日からとなりますが、企業にとっては大きな人件費増につながることは避けられません。
全国的に「最低賃金1,000円超え」が実現したことは、労働者の生活改善という観点では意義深い一方で、特に人件費比率の高い中小企業や労働集約型産業にとっては、収益を圧迫する深刻な課題となります。
《企業に押し寄せる負担》
■人件費全体への波及効果
最低賃金の上昇は、単に時給者だけでなく、既存社員の「逆転現象」を避けるために広範囲な賃上げにつながります。結果として、賞与や社会保険料負担も膨らみます。
■価格転嫁の難しさ
原材料費や光熱費の高騰に加え、地域市場では価格転嫁が容易ではありません。「賃上げしたくても販売価格に反映できない」という声を多くの企業から伺います。
■人材確保との板挟み
賃上げ対応を見送れば、求人が埋まらないリスクが高まります。「採用競争力のために賃上げせざるを得ない」という状況に直面している企業も少なくありません。
《現実的な対応の方向性》
こうした中で、経営者としては「いかに負担をやわらげ、前向きに対応していくか」が鍵になります。
■業務改善助成金の活用
賃上げを行う中小企業を対象に、設備投資や生産性向上の取り組みに対して助成金が設けられています。特に省力化機器の導入やDXの小規模投資でも対象となるケースがあり、活用余地は広がっています。
■労務管理の再点検
月給制社員についても「時給換算」で最低賃金を下回らないか、必ず確認が必要です。シフトや残業管理の見直しも、負担を軽減する一助になります。
■定着支援で採用コスト削減
人件費増に加えて、新規採用のコストも上昇傾向にあります。離職防止・定着強化により「採用コストを抑える」視点はこれまで以上に重要です。
最低賃金の引き上げは、社会的な流れとして不可避ですが、地方の中小企業にとっては「成長のための投資」どころか「生き残りをかけた負担」としての側面が強いのも事実です。
私たち地域密着の人材紹介会社としては、単なる求人紹介にとどまらず、「助成制度や労務対応の情報提供」。「採用から定着までの一貫したサポート」などを通じ、企業の皆さまの不安を少しでも和らげ、現実的な解決策に結びつけていきたいと考えております。
最低賃金の引き上げは「企業にとっての逆風」である一方で、適切に備えることで「競争力強化の契機」にもなり得ます。
皆さまの現場に即した形での対応策を一緒に考えてまいりますので、ぜひお気軽にご相談ください。