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Vol.157 過去最大の最低賃金引上げ
2022年08月03日
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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.157)
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今月のひと言
「過去最大の最低賃金引上げ」代表取締役 福山研一
昨日開催された中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定について答申がとりまとめられ、全国平均で過去最大となる31円の引上げ目安が示されました。
これで全国平均としては961円になりますが、かねてより1,000円以上を目指していたことに加えて、消費者物価の上昇懸念も考慮されての引上げとみられています。
都道府県の経済実態に応じ、ABCDのランクに分けて全都道府県の引上げ目安が示されていますが、徳島県は、Cランク:30円で、目安通りになると、現在の824円から、854円に引上げられることになります。
私が徳島にUターンし、人材サービス業界に入った2006年当時の徳島県最低賃金は617円で、この16年で40%近く上昇したことになります。特にここ10年は、従来の数円単位から、10円以上、20円以上の急ピッチの上昇となっています。
バブル崩壊後の20~30年、日本は経済成長・賃金上昇が停滞していたと言われ、世界的にも賃金水準が相対的に下がっていますので、最低賃金が上昇することに関しては、悪いことではないかと思います。ただ、その上げ幅やタイミングなど、引き上げ方法については注意も必要かと個人的には考えています。
内部留保が潤沢な好業績の企業は、賃金引上げ原資もありますし、そもそもそうした企業は最低賃金ギリギリでの雇用は実際は少ないようにも思います。一方で、余力の少ない中小企業などは、限られた人件費のなかで賃金を上げるとなると、採用人数・雇用人数を減らすことになり、結果として失業者を増やす恐れもあります。
なかには、賃金引上げで消費を活性化し、景気の好循環を生み出すという考え方もあるようで、卵が先か鶏が先かの議論になりますが、そうした取り組みを実施した韓国など他国の事例も参考に、最低賃金引上げは絶妙の匙加減での実施を期待したいところです。
個人的には、政策の後押しも必要だとは思いますが、一番は、企業が社員が高い能力を発揮できる仕組みを考えて生産性向上を図ったり、個々の社員がスキルアップを図って、自らでも仕事の価値を高めて、それに見合った高い給与を受け取るというのが理想ではないかと思います。