Vol.144 最低賃金の引き上げ是非

2021年06月18日

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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.144)
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今月のひと言
「最低賃金の引き上げ是非」代表取締役 福山研一

 先日、通常国会が閉会したところですが、今国会では、労働法制に関する話題は少なかったように思います。これまで、このメルマガでは、度重なる派遣法改正に、働き方改革関連法など、都度都度、動向等お伝えしてきましたが、今回、私の記憶にあるのは、男性に育児休業の取得を促す改正育児・介護休業法の成立などでしょうか。

 コロナ禍ということもあり、雇用の維持・労働者の保護という観点での議論は日々なされているようですが、これからの注目ポイントとしては、最低賃金の引き上げになるかと思います。
 毎年、6月下旬に開始される政府の中央最低賃金審議会で方向が示されますが、今年はどうなるのか。安倍政権時代に1000円を目指して、特に2016年からは3%程度の高水準の上昇が続いてきましたが、昨年2020年はコロナ禍により、企業活動も大きく制限されたため、審議会で目安を示すのは困難となり、現行水準の維持が適当との判断になりました。

 菅首相は、最低賃金の引き上げに意欲的ともとれる発言をされていたようですが、個人的には、そこまで最低賃金にこだわる必要があるのか疑問に思うこともあります。最低賃金は高いに越したことはありませんが、そのタイミングや上昇幅によっては、お隣の韓国の例のように逆に雇用自体を減らしてしまう恐れもあります。
 
 企業経営者の本音としては、会社に利益をもたらしてくれる人材であれば、給与は惜しまないのではないかと思います。
 最低賃金という制度で労働者の賃金の底上げをするのではなく、企業が高い賃金を支払いたくなるような、支払わないと他社にとられるような人材の育成の方にもっと注力をしてもいいように感じます。
 労使が賃金の交渉・駆け引きをして、どちらかが勝った負けた、得した損したではなく、同じ目標に向かうパートナーとして、お互いに満足するような賃金設定でありたいものです。

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