Vol.181 過去最大の最低賃金引上げ見通し

2024年08月09日

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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.181)
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「過去最大の最低賃金引上げ見通し」  代表取締役 福山 研一

7月24日、中央最低賃金審議会が、50円の最低賃金の引上げ目安を決めましたが、これは過去最大の引上げ幅で、全国加重平均で1,054円となる見通しとなりました。
今後、各都道府県での審議を経た上での決定となりますが、この見通しのままいくと徳島県は946円になりそうです。
8月8日には、後藤田正純徳島県知事らが徳島労働局を訪れ、最低賃金の積極的な引上げを求める要請を行ったとも報じられています。

これまでの徳島県の最低賃金の推移をみると以下の通りで、
2015年 695円
2016年 716円
2017円 740円
2018年 766円
2019年 793円
2020年 796円
2021年 824円
2022年 855円
2023年 896円
2024年 946円(見通し)
この10年で600円台から900円台に上昇することになります。さらに10年前の2005年が615円だったことを考えると、大きな変化です。

働く個人にとっては、望ましい変化ともいえますが、企業側の負担のみならず懸念されることもあります。
給与水準の引上げ余力のある大企業は、そもそも最低賃金での雇用は少ないように思いますし、地方の中小企業など、引き上げ余力がないと、その原資確保のために雇用を減らす恐れもあるのではないかと思います。それは、労働者・求職者にとっても好ましいことではありません。
もしかしたら、政策的に成長産業への労働移動を促す狙いもあるのかもしれませんが。

ここ数年で既に一般的な募集賃金も上昇傾向にありますが、仮に最低賃金を上回っていても、最低賃金700円台のときの時給1,000円と、最低賃金946円のときの時給1,000円では、印象が変わってくるので注意が必要です。

企業にとっては、個々人のパフォーマンス向上や業績向上に伴う賃上げではないため、純粋なコスト増になりますが、逆に賃金上昇に見合ったパフォーマンスを発揮してもらったり、モチベーションアップが図れる環境づくり、仕組みづくりが求められてくるかと思います。