Vol.180 防衛的な賃上げ

2024年07月03日

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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.180)
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今月のひと言
「防衛的な賃上げ」 代表取締役 福山 研一

6/20の日本経済新聞の記事で、中小企業で業績の改善が伴わないのに人手を確保するための「防衛的な賃上げ」が目立っている、と報じられていました。日本商工会議所の調査で6割に上り、収益力の向上による「前向きな賃上げ」を上回っているそうです。

実際、人材紹介会社の立場としても、給与面を理由に離職・転職相談に来られる方や、一定の給与水準を求人応募の判断としている方も多く見ており、人材の維持・確保という点で、致し方ないものかと感じております。

この記事では、対応策として、政府が打ち出す支援策のほか、中小企業の稼ぐ力を高めるための生産性向上も進める必要があると紹介されていました。

賃上げが従業員のモチベーションアップをもたらし、それが生産性向上に繋がることも期待したいところですが、ハーズバーグ(米心理学者)の【二要因理論】によると、給与は、不満足の要因となる「衛生要因」に該当し、不満足の解消にはなるものの、満足度の向上には繋がらないと考えられるようです。
つまり、モチベーションアップには、この不満足の解消だけでなく、満足の要因となる「動機付け要因」にもアプローチを図る必要があります。

不満足に関わる「衛生要因」としては、給与のほか福利厚生や職場環境、対人関係などがあり、満足に関わる「動機付け要因」としては、達成、承認、責任の拡大、昇進・成長などが挙げられます。

賃上げに際しては、防衛的な賃上げだけに留めるのではなく、この両要因にも手立てを講じて、心理的な面からも生産性向上を図る契機としてもいいと思います。